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TKT*RandomWalk

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2009年 04月 29日

5月天井


米国の主要指標が下げ止まりを見せて4月中旬まで上げ基調になっていた輸出株が、決算開示がなされてからは急落。

「期待で買い、現実で売る」なんて相場の格言を地で行く状況だ。リートも連れ安になっている。今期(2010年3月期)の見込みが市場の期待を下回っていることが急落の要因らしい。

ところで今期の決算見込みはどんなスタンスで作っているんだろうか。悲観シナリオなのか、ある程度将来の回復を織り込んでいるのか。それでもって、開示されたものの扱いは大きく変わる気がする。

が一方で、時々刻々と経済情勢状況が変わっている現状においてはそれが強気か弱気かも判断つけられないのが現状だと思う。見通しは暫定的とした鉄鋼各社は正直だと思うし非難されるものではないと思う。結局しばらくは日々の変化に一喜一憂せざるを得ない状況が続くんじゃないだろうか。


さて、リートの話。
最近は週に2回くらいのペースでリート批判の記事が新聞に載っている気がするが、4/29日経新聞朝刊にリートについてのコラムが載ってます。内容は、鑑定評価の不透明さについて。

リートが物件を取得する際には、取得価格の妥当か検証できるよう、国家資格を持つ不動産鑑定士が評価書を出す。そこには採用キャップレート(※)が記載されるんだが、コラムの筆者は同一用途同一地域の物件でもリートごとに採用キャップレートが大きく異なっていることを問題視した上で、キャップレートの適正さを検証できるよう鑑定評価書全文を開示せよと唱える。

半分的を得ているけど半分は大ハズレな感じだ。
東京フレンドパークでダーツは的にあたったけどタワシだったような。

鑑定評価書を全部開示すれば、適正なキャップレートは分かるんだろうか。仕事上たらふく鑑定評価書を見ているが、真に適正なキャップレートは分からないと思う。

同じような物件でもキャップレートが異なる理由の1つは、物件に個別性があることによる。同じエリアに属する同じ用途、同じ規模の物件AとBを比べても、例えばBが古い建物だったり土壌汚染の可能性がある場合、Bの方がリスクが高いためキャップレートは上がる。こうした物件の個別性がちゃんと評価されているかを検証する意味では、鑑定評価書の全開示に一定の効果はある。

が、キャップレートを決める上では正直この辺はあまり影響が強くない。将来の経済の経済見通し、ファンダメンタル予測などのマクロ的影響の方がよほど強い。そしてこの「見通し」ってのは市場参加者のコンセンサスで出来上がるもんなのだ。その物件の中身を根掘り葉掘り調べて分かるもんじゃない。

1,2年前3%の利回りで買われた物件が、今は5%で取引される。それは将来の見通しが急変し、不動産マーケットの参加者の意識が変化したことによる。では当時3%で買った人が悪者だったかというと、一概にそうとは言えない。3%が妥当だというコンセンサスが、当時にはあったのだから。

鑑定評価書のキャップレートは、その価格時点の市場コンセンサスを映したにすぎない。
そう考えると、リートを買う人は自らの責任でそのコンセンサスを検証し、その投資法人の物件購入の妥当性を自ら判断しなければならないことになる。一般の人に不動産投資の門戸を広げるリートの存在意義に照らすと酷な結論だ。投資にリスクがつき物であることは当然であるにしても・・・。

より安全性の高い、デット部分へ投資できるリート商品なんかが今後は求められるんだろうか。この辺についてはまた改めて考えてみよう。

※キャップレート:その物件の運用により得られる利回り。ハイリスクならばハイリターンを求めるためキャップレート値は上がり、リスクが低ければローリターンでも満足するため値は下がる。
「 物件価格 = 物件から上がる利益 ÷ キャップレート 」
従ってキャップレートが下がれば物件価格は上がるわけで、物件取得価格の妥当性とこの値の関係が極めて大きい。

by kshrtkt | 2009-04-29 20:31 |


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